コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2022/08/23

東京圏人口 初の減少

▼総務省が発表した国内の日本人の人口(今年1月1日現在)で、東京圏(1都3県)が1975年以降初めて減少に転じた。出生者数から死亡者数を引いた「自然減」の拡大や、コロナ禍で国外からの転入の減少、東京から他県への転出の増加などが要因とみられる
▼東京圏の人口は3561万115人で前年比3万4498人(0・01%)減。名古屋圏と関西圏を加えた「3大都市圏」の人口は6426万4479人となり、4年連続の減少だが、16年連続で全国人口の半数を超えた。逆に言えば、地方の人口減は依然として歯止めがかからない状況が改めて浮き彫りになった
▼日本全体では前年比61万9140人(0.50%)減の1億2322万3561人で、13年連続の減少。減少幅は過去最大で、60万人を超えたのは初めて。鳥取県の人口(54万7318人)より多くの人口が昨年1年間で減ったと言えば、その減少幅の大きさが分かる
▼出生者数は81万2036人で、6年連続で過去最少を更新。コロナ禍による出産控えや、出産と結びつく婚姻数の減少が影響したとみられる
▼都道府県では、沖縄県以外の46都道府県が減少。秋田県(1.51%)、青森県(1.32%)、徳島県(1.07%))など地方で減少率の高さが目立つ
▼東京都は0・15%減で、26年ぶりの減少。転入者数が転出者数を上回る「社会増」でも1万2841人となり、前年の6万501人から大きく減少した。コロナ禍によるテレワークの進行などで、人の流れが鈍化していることが背景として挙げられる
▼人口減が加速する最大の要因は、言うまでもなく出生者数の減少にある。国や自治体も待機児童の解消や育児休業の取得などの対策を推進しているが、目に見えた効果には至っていない
▼政府の有識者検討会はこうした現状を「静かなる有事」と評しているが、日本の将来を考えれば、「静かなる」などと悠長なことは言っていられない、待ったなしの「有事」と考えるべきだろう。

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