コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2011/07/25

有効活用したい有害鳥獣

▼千葉県内のイタリア料理店で先日、キョンの肉の炭火焼を供された。キョンとは、名前の響きこそ面白いが、れっきとした鹿の仲間で、台湾鹿、四目鹿(ヨツメジカ)とも言われる。中国東部や台湾に分布し、日本では房総半島と伊豆大島に生息する。写真などで見ると、確かに小型の鹿といった風情だ
▼もとは勝浦市の観光施設から逃げ出したものが野生化し、急激な繁殖によって生息分布域が拡大。本県内の生息数は平均4000頭に達すると推定されている。環境省の特定外来生物に指定され、近年では農作物被害が発生。下層植物などへの食圧による自然植生への影響も指摘されている。見た目は可愛いが、なかなかどうして厄介な存在なのだ
▼県や関係市町村などでは有害鳥獣被害防止計画を策定し、イノシシやシカなどとともに防除の方針を打ち出している。具体的には、猟友会などの協力を得て、防護柵や檻などによる捕獲を実施する
▼キョンが有害鳥獣とは知っていたが、まさか食用になるとは思わなかった。お味はというと、同じ鹿でも日本鹿などとはだいぶ違い、どちらかというと鶏肉のような軽い肉質。臭みやクセがほとんどなく、食べやすい。鹿肉をイメージしていたので、ちょっと意外な感じだった。料理店のスタッフに聞くと、箱罠で捕ったものとのこと
▼最近では南房総地域にイノシシなどの解体処理施設が開設または計画されており、有害鳥獣を食肉として流通させようという動きが出ている。どうせ捕獲処理するなら、こうして美味しく食べてもらったほうが彼らも幸せなのではないか―などと考えるのは、人間サマの身勝手な理屈だろうか。

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