2024/12/11
加速する高齢者の単身世帯
▼一人暮らしをする高齢世帯の割合が急速に増え続ける見通しが明らかになった。未婚率が高まったり、離婚が増えたりしたことが影響し、高齢者世帯の貧困や、犯罪に巻き込まれるなどの問題も懸念される
▼国立社会保障・人口問題研究所による都道府県別の世帯数の将来推計によると、単身世帯の割合は2050年に27都道府県で4割超となり、65歳以上の高齢者の単身世帯は32道府県で2割を超える。とくに大都市圏で増え、東京都は50年推計で、全世帯に占める割合が54・1%にまで高まる
▼世帯総数は45~50年に全ての都道府県で減少に転じ、50年には20年時点から5・6%減の5260万7000世帯となる。このうち最も多いのは単身世帯で、全体の44・3%にあたる2330万世帯に増加する。とくに地方で単身世帯の割合増加が顕著になる
▼65歳以上の単身世帯に限ると、20年時点では全国で13・2%(737万世帯)だったが、50年には20・6%(1083万世帯)まで増加。20%超が32道府県にまで上昇する。最も高いのは高知県の27%で、徳島県の25・3%、愛媛県の24・9%と続く
▼大都市圏でも増加が続き、神奈川県(20・3%)、大阪府(22・7%)、兵庫県(23・5%)などが20%を超える。世帯数が最も多い東京都は18・7%。千葉県は19・4%(20年比増加率67・1%)となる
▼前回19年の推計では、40年の高齢者の一人暮らしは896万3000世帯だったが、今回推計では40年で1041万3000世帯となり、100万世帯以上に増える見込みだ
▼高齢の単身世帯増加は、未婚率の高まりが大きな要因で、50歳までに一度も結婚しない人の割合は20年で男性28・25%、女性17・81%に上っている
▼高齢になるほど、医療や介護のサービスの必要度が増す上に、少子高齢化などで医療介護分野の人材不足が深刻になれば、十分な体制を整えるのは難しい。将来の働き手を増やし、年金や医療などの社会保障制度を盤石にすることが、高齢者の生活支援に不可欠となる。