岐路に立つ水道事業
▼蛇口をひねれば、きれいな水が出て、水質に気を使うこともない。けだし便利でありがたい日本の水道だが、それでも最近はその料金に、ずいぶん高くなったと感じさせられる
▼市町村などが運営する水道事業は、人口減少や節水機器の普及などに、人件費や資材費の高騰が追い打ちとなって、経営環境が厳しさを増している。2024年度には全国の水道事業の2割が経常収支で赤字となった
▼水道事業は独立採算制が原則で、浄化費用や水道管の維持・管理費、人件費などのコストは、家庭や企業などからの料金収入で賄うが、全体の6割半ばはすでに「原価割れ」の状況にあり、原価割れすれば税金で穴埋めすることになる
▼穴埋めが追い付かず、老朽化した水道管などの維持・管理費が捻出できないとなると、水道料金を値上げせざるを得ない。経常収支が赤字となった水道事業は、17年度以降10%前半で推移していたが、23年は17・1%、24年度は23・2%と急速に悪化している
▼これまでは水道料金への上乗せを避け、水道管の更新などを先延ばしにしてきたが、先延ばしで工事費が高くなり、人口減少とコスト高に経営体力を奪われる自治体が増えている
▼人口が減れば利用者が少なくなり、必然的に水道料金収入も減る。加えて、高度経済成長期にこぞって造られた水道管や設備が更新の時期を迎えている
▼水道料金の全国平均は25年4月時点で3401・8円(3人世帯の月平均)。都道府県別では2倍近い差があり、最も高かったのは青森県の4548・6円、最も低かったのは神奈川県の2311・8円だった
▼北日本の道県が上位を占めるが、面積が広く水道管の管理費や凍結対策費がかさむことが要因とみられる。一方、神奈川県など下位は、水源が豊富などの理由がある
▼千葉県は3706・5円で、上から14位。全国平均より300円ほど高かった
▼人件費の削減や広域化の交渉を進める自治体も見られるが、短期的な決着は見込めず、まさに水道事業は岐路に立たされている。