2025/07/03
事業者:千葉県総合企画部
5か年で2886億円/管路・施設など建設費/水道事業運営審第1回部会
2025年度県水道事業運営審議会第1回部会(部会長=滝沢智・東京都立大学特任教授)が2日、千葉市内のペリエ千葉7階「ペリエホールRoom C」で開催された。会議は非公開で行われ、閉会後に水上真門・総合企画部水政課水道事業室長と鈴木宏典・企業局管理部総務企画課主幹が記者団の取材に応じた。会議は「施設整備の考え方について」を議題とし、26~30年度における建設事業費として、管路2194億円、施設113億円、設備579億円を提示した。
部会では、水道料金の引き上げ幅「18・6%」の妥当性を検討。今後、大幅な給水収益の増加が見込めない中、老朽化した水道施設の更新や首都直下地震などの可能性も踏まえた防災対策を一層進めていく必要があることから、水道料金引き上げを考える上で前提となっている管路や浄給水場などの施設整備の考え方について議論している。
県は、26年度以降の施設整備に係る事業量を見込むに当たり、詳細な老朽度調査を実施し、管路や施設の目標使用年数を見直した。
管路については、腐食度予測の結果を踏まえ、全体の約51%に当たる「その他の地域(比較的腐食性の低い地域)」における目標使用年数を10年間延伸できるものとし、現行の「60~80年」を「60~90年」に変更。管路のうち小中口径管については、更新ペースも段階的(現行80km/年、26~30年度83km/年、31~35年度85km/年)に引き上げる。
浄給水場のうち土木・建築・鋼構造物などについては、中性化試験の結果などを踏まえ、現行の「60~80年」を「100年」とした。
浄給水場のうち機械・電気・計装設備に関しては、現行の目標使用年数の「15~30年」を超えて使用した場合に健全度を維持できる根拠が見いだせなかったことから、変更していない。
26~30年度の5年間においては、小中口径管の更新を年83kmのペースで推進。大口径管は8路線27kmの工事を実施するとともに、31年度以降に予定されている14路線の工事の設計に着手する。
35年度末の管路耐震化率に38・8%を見込んでいる。
栗山給水場は29年度までに既存浄水施設を撤去した後、更新に着手する。
園生給水場は、千葉市都市計画道路事業の支障となる配水池などの撤去を28年度までに完了し、以降、順次更新を進めていくことを検討。
柏井浄水場西側施設では、洗浄水槽の耐震補強を30年度までに実施。松戸給水場などの耐震補強も計画している。
浄給水場の機械・電気・計装設備については、更新などを進めていく。
5月29日に行われた25年度第1回審議会では、熊谷俊人知事が「管路や施設の更新・耐震化を着実に実施し、将来にわたり安全な水を安定して供給し続けていくには、健全な財務基盤の構築が不可欠」との認識を示し、滝沢委員長に対して「今後の県営水道の料金水準と料金体系のあり方について」の諮問書を手交した。
今後は、10日に第2回部会、22日に第3回部会を開き、施設整備や料金体系について議論を深めた上で、審議会において報告・説明する予定。
鈴木主幹は、水道料金の引き上げ幅18・6%について「企業債の活用や経費削減などに加え、国が定める基準の上限での一般会計からの繰り入れにより、目いっぱい下げた数字となっている」とし、現状では「これ以上、下げる要因は無い」との考えを示した。
また、第2回審議会に向けては「部会での議論について丁寧に伝えるとともに、第1回審議会で挙がった意見に対する説明を行い、理解を求めていきたい」と見据えた。