2025/10/03
事業者:国土交通省運輸安全委員会
着実な軌道変位補修を/いすみ鉄道に脱線事故勧告/国交省運輸安全委
国土交通省運輸安全委員会(李家賢一委員長)は2日、いすみ鉄道(古竹孝一・代表取締役社長)に対し、2024年10月4日に発生したいすみ鉄道いすみ線苅谷踏切付近(国吉駅・上総中川駅間)の列車脱線事故に関する勧告を行った。必要と考える再発防止策として、着実な軌道変位の補修、枕木の適切な管理、線路の保守体制の改善を挙げた。施策実施に際しては「国や関係自治体からの協力を得つつ、社外からの知見を得るための技術支援などを積極的に活用していくことが望ましい」とした。
勧告内容は、軌道変位の管理・補修体制の構築、18年6月にまとめた「軌間拡大による列車脱線事故の防止について」を踏まえた対策の再検証、PC枕木化など対策の早期実施に向けた計画策定など。また、運輸安全委員会設置法の規定に基づき、講じた措置の報告を求めた。
復旧見通しとして、利用者の多い大原駅・大多喜駅間に関し、枕木交換や軌道整備などを進め、27年秋頃の運行再開を目指す。代行輸送費を含む復旧費は、約14億5000万円。大多喜駅・上総中野駅間については、今後、復旧費などに係る調査を進めていく。
原因に不良枕木など/事故調査報告書公表
関連して、「鉄道事故調査報告書」を公表した。走行中に軌間が大きく拡大した原因は、必要な軌間変位の補修、脱線の危険性がある連続した不良枕木(腐食やひび割れなど)の把握、不良枕木の交換やPC枕木化などが不十分だった。
脱線事故は、列車が半径300mの右曲線を走行中に軌間が大きく拡大したため、先頭車両の後台車第1軸の右車輪が軌間内に落下し、以降の先頭車両後台車第2軸および後部車両の各輪軸も追随して右車輪が軌間内に落下したことに起因する。
いすみ線は、大原駅(いすみ市)と上総中野駅(大多喜町)を結ぶ単線区間26・8㎞の路線。特定地方交通線に指定された国鉄木原線を存続するため、県および地元自治体を主な出資者とする第3セクター鉄道の路線として、1988年3月24日に営業を開始した。