コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2023/04/12

惜しまれる坂本龍一さんの死

▼筆者にとっての坂本龍一さんといえば、大島渚監督の映画「戦場のメリークリスマス」となる。1983年の公開当時は何度も映画館に足を運び、後日、シナリオ本まで買い込んだ。そしてもちろん、坂本龍一さんが担当したサウンドトラックLPも
▼まさにはまってしまった映画だった。映画も素晴らしければ、有名なテーマ曲も素晴らしかった。時を経ていまなお耳に残る映画音楽の一つと言える▼その通称「戦メリ」で演技と音楽の両方で活躍した音楽家の坂本龍一さんが先月、71歳で亡くなった。音楽はもちろん、その他の分野、さらに社会活動などでももっともっと活躍してほしかったが、かなわぬものとなってしまった
▼音楽性は幅広く、クラシックを根幹に持ちつつ、民族音楽やポピュラー音楽にも造詣が深かった。本人にとってジャンル分けは本意でないかもしれないが、エレクトロニック、前衛音楽、クラシック、ポップ・ロック、実験音楽、フュージョン、シンセポップ、アンビエント、映画音楽、現代音楽など多岐にわたった
▼幅広い活動で世界に知られる日本人ミュージシャンだった。自身の音楽活動以外に音楽プロデューサーやアレンジャーとしても活躍し、他のアーティストとの共演や楽曲提供も数多い
▼戦メリでは個性的な存在感で陸軍大尉ヨノイを演じ、俳優としても名を残した。坂本さんのほか、デヴィッド・ボウイさん、ビートたけし(北野武)さんなど、いま思えば奇跡のような配役だが、配役決定までには紆余曲折があり、坂本さんは音楽も担当することを条件にオファーを受けたと言われる
▼坂本さんの訃報に、北野武さんは「ただただショックで残念で仕方がなく言葉もありません。大島渚監督が亡くなってデビィッド・ボウイが亡くなって、坂本龍一さんが亡くなって仲間がみんないなくなってしまい、『戦場のメリークリスマス』は俺だけになってしまいました」と追悼のコメントを発表した。いくら考えても、あまりに早すぎるその死が悔やまれてならない。

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