コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2023/09/07

最低賃金 全国平均1000円超え

▼今年度の最低賃金(時給)の改定額が全国平均で初めて1000円を超えた。どんな職種の、どんな立場の人であれ、賃金水準に無関心な人は少ないだろう。全国平均の引き上げ額は43円で、うち2円が目安より上積みされた額となり、この結果、改定後の最低賃金は昨年から43円増え1004円となった
▼物価高や人材流出への危機感などを背景に、賃金の低い地方を中心に大幅なアップが続出した形だが、一方で全国最低額の岩手県は、国の審議会が示した目安通りの39円の引き上げながらも、上積みなしの893円となり、こうした最低賃金の低い県との格差は依然として大きいと言わざるを得ない
▼全国で最も高い引き上げとなったのは佐賀県で47円。引き上げの目安は39円だったが、8円を上積みし、最低賃金900円に。隣の福岡県との差は41円で、昨年度の47円から差が大きく縮まった
▼最低賃金の改定にあたり中央最低賃金審議会は、地域の所得や物価などの経済状況に応じ、引き上げ額の目安を、東京など6都府県の「A」で41円、京都など28道府県の「B」で40円、岩手など13県の「C」で39円とした。さらに24県で目安より上積みされ、埼玉、千葉、愛知、京都、兵庫の5府県では初めて1000円以上となり、東京都と神奈川県は1100円を超えた
▼人手不足の中で働き手の流出を抑える狙いなどから、国の示した引き上げの目安額に大幅に上乗せする地方の県が相次いだが、一方で、最低賃金最高額の東京の1113円を最低額の岩手の893円と比べると、差は220円に及び、昨年より1円広がった
▼非正規労働者が増え、最低賃金が影響する働き手の割合が高まり、最低賃金に連動して時給を決める会社も地方では多い。最低賃金に関する審議も一部公開が増えているが、なぜこの金額なのかと疑問に思う経営者や労働者は少なくないだろう。今後は、全国平均1千円超えに続く新たな目標が焦点になる。水準のみならず、金額決定の納得性を高める必要がある。

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