コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2024/04/18

本県(千葉県)も深刻な孤立集落

▼近年の災害による課題の一つに「孤立集落」がある。能登半島地震でも道路の寸断などで相次ぎ発生し、被災の実態把握や救援の遅れにもつながった。孤立が続けば、住民の命にもかかわる重大問題だ
▼孤立集落とは、災害発生時に外部からのアクセスが不可能になり、住民生活の維持が困難になる可能性のある集落を指す。中山間部や沿岸地域、島しょ部など、さまざまな地域で起こりうる
▼能登半島地震などを受け、地形が似ている静岡県・伊豆半島でも、このほど自衛隊や消防による現地確認が行われたというが、同じ半島というリスクで言えば、千葉県も同様だ。本県でも孤立の可能性がある地域の調査を急いでいるが、少なくとも数百か所に上ると見られている。そこまで多くの集落で孤立の可能性があるとは、驚きを超えて衝撃でもあった
▼震災による被害としては、すでに本県でも2019年の台風による倒木や崖崩れで孤立した集落が出ている。君津市の山間部の奥米集落では1週間、南房総市の多い地区でも2週間ほど孤立状態が続いた
▼房総半島でも大きな地震が起きれば大規模な土砂崩れが起こり、孤立集落が増えて、孤立状態も長期に及ぶ可能性が大きい。とくに山間部の集落には高齢者が多く、リーダーシップをとれる人材がいるかどうかも危惧される
▼県内で2番目に面積が広い君津市には山間地が多く、連絡網として公民館には衛星電話が配備されているが、小さな集落までは行き届いていない。また、房総半島の先端に位置する館山市では、安房全体が陸の孤島になると不安視する声もある
▼県による13年度調査では千葉県内で34か所の集落で孤立の恐れがあることが判明したが、今回の能登半島地震を受けた再調査では、該当集落が急増する見込みだ。急増の理由の一つには「土砂災害警戒区域」の指定箇所が増えたことがある。再調査の結果を踏まえて県では具体的な対策の予算化を検討する考えで、避難所の備蓄状況など、市町村と連携して早急に対応する必要がある。

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