コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2024/11/21

世界の気温上昇1・5度超え

▼今年の世界平均気温が産業革命前の水準より1・55度以上高くなり、観測史上最高になる見通しが発表された。産業革命前と比べた上昇幅が1・5度を上回るのは初めてで、極めて深刻な状況が示された
▼欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」が発表したもので、「重要な意味を持つ出来事」と指摘し、現在アゼルバイジャンで開催中のCOP29(国連の気候変動枠組み条約第29回締約国会議)での議論を求めた
▼同機関によると、1~10月の世界平均気温は1991~2020年の平均を0・71度上回り、23年同期より0・16度高かった。このデータをもとに24年の平均気温を予測すると、産業革命の水準を1・48度上回った23年の記録を超えることが確実になった
▼今年は世界各地で酷暑や干ばつ、大雨などの気象災害が頻発した。日本でも今夏(6~8月)の平均気温は平年値より1・76度高く、23年と並び「最も暑い夏」となった。今年の熱中症搬送者数も過去最多の9万7000人以上で、35度以上の猛暑日が62日と、昨年の国内最多記録を大きく上回った

▼世界に目を転じても、サウジアラビアでは6月に最高気温が50度を超え、イスラム教の聖地メッカへの大巡礼に参加した約1300人が熱中症などで死亡した。ほかにもブラジル・アマゾン川流域での干ばつ、アフリカ・エチオピアでの豪雨による大規模な地滑り、9~10月のアメリカ南部でのハリケーン被害など、枚挙にいとまがない
▼気象上昇幅が大きくなるほど異常気象は激化し、平均気温が1・5度上昇すると、上昇がない場合に比べて「10年に1度」の頻度だった猛暑は4・1倍、豪雨は1・5倍に増えるとされる
▼国連のグテーレス事務総長は「地球はあらゆる場所のあらゆる人々にとって一層暑く、より危険になっている」と厳しい表現で警告を発し、化石燃料から脱却し、温室効果ガス排出量を実質ゼロにする必要を訴えている。私たちの地球を守る未来への本気度が、いままさに問われている。

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