コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2025/09/25

低迷続く海水浴

▼夏のレジャーといえば、かつては海水浴が筆頭格だったが、その海水浴も21世紀に入って低迷傾向にあるようだ。海水浴客の総数は1996年には約2820万人に及んだが、2016年には約730万人まで減少。海水浴場も1320か所から1111か所へ減少したという
▼海水浴客減少の理由としては、レジャーの多様化や、日焼けや砂による汚れ、肌や体型の露出を嫌う心理、河川・海岸の減少などが考えられる。加えて昨今の異常な暑さでは、照りつける太陽のもとで涼しげな水に親しむなどと悠長なことも言っていられない状況にある
▼海水浴が庶民の夏の娯楽として定着したのは、高度経済成長が始まった1960年代前半。筆者の子ども時代には、夏になると、都市近郊の海水浴場へ向かう列車は満員だった記憶があるが、それも今昔の感が深い
▼別の調査では、全国の海水浴場は1985年には1353か所あったが、2024年6月末時点で970か所に減少。海水浴客数も推計で1985年のピーク時には3790万人だったが、2022年は360万人にまで落ち込むという、さらに深刻な低迷を示す数字も出ている
▼海の日の制定を機に1996年には「日本の渚100選」も選定された。上位では、千葉県の九十九里浜が堂々2位にランクインしている。ちなみに1位は天橋立(京都)、3位は鳥取砂丘・白兎海岸(鳥取)、4位は浄土ケ浜(岩手)、5位が室戸岬(高知)
▼18位には犬吠埼君ケ浜海岸が入り、20位までに本県から2か所がランクインしている。九十九里浜の寸評は「太平洋に面した遠浅の海は海水浴のほか、四季を通じてマリンスポーツも楽しめる」
▼近年、全国的に砂浜の減少が問題化しているが、それでも九十九里浜の雄大さは国内でも類を見ない規模で、旭市からいすみ市まで約66㎞に及ぶ。古くから文豪・墨客が訪れた「文豪の地」としても知られる。今後は海水浴のみならず、サーフスポットやビーチバレーなど多様な通年型の観光利用を期待したい。

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