コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2025/09/17

ミラノの3G

▼「3」という数字には特別な力があるのだろうか。日本に限らず、3つのものを総称して「三大〇〇」と認定されることは珍しくない。「御三家」などもこれに類するものと言えるだろう
▼たとえば、三大珍味ならトリュフ・キャビア・フォアグラ、三大料理ならフランス・トルコ・中国料理、三大宗教ならイスラム教・キリスト教・仏教、三大美女ならクレオパトラ・小野小町・楊貴妃――といった具合だ
▼洋楽好きの筆者にとっては、さしずめエリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジの「3大ギタリスト」が思い浮かぶ。もっとも、この3大ギタリストのくくりは日本だけのようだが、いずれも音楽界に大きな足跡を残すギタリストには違いない
▼長きにわたり並び立ってきた3大ギタリストも、ジェフ・ベックが2023年1月10日に78歳で没し、ジミー・ペイジもすでに第一線からは退いている。いまも現役と言えるのはエリック・クラプトンだけだが、それでも一度定着した3大ギタリストの総称は根強く、そう簡単に消えたり移ろったりするものではなさそうだ
▼ファッション界に目を移すと、かつて「ミラノの3G」と称される3者がいた。ジョルジオ・アルマーニ、ジャンニ・ヴェルサーチ、ジャンフランコ・フェレである。〝ミラノの〟とはいっても、3者がそろって活躍した1980年代以降は、いずれも世界のファッション界をけん引するビッグネームだった
▼しかしこの3Gも、ヴェルサーチが1997年7月15日に暴漢に銃撃されて50歳で死去し、フェレも2007年6月17日に脳内出血で急死した。残るアルマーニは〝モード界の帝王〟と称され、精力的な活躍を続けてきたが、残念なことに、今月4日に91歳で生涯の幕を閉じた
▼これで3Gすべてがこの世を去ってしまったが、その業績はこれからも長く記憶され続けることだろう。「エレガンスとは注目されることではなく、記憶されること」と語ったアルマーニさんの言葉を、あらためて胸に刻みたい。

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