コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2025/09/10

睡眠の自覚と客観データ

▼自分の睡眠に課題や不安を持つ人は少なくないだろう。睡眠時間や不眠、睡眠の質などさまざまな点で、睡眠をめぐる自覚が客観的なデータと異なるという研究結果も出た
▼脳波などの調査で、「十分寝ている」と感じる人の45%に睡眠不足が疑われ、逆に「寝付けない」「目が覚めてしまう」など睡眠に不調を感じる人でも66%は客観的な評価に問題がなかった。また、睡眠の質に満足している人の40%に睡眠時無呼吸の可能性があるとされた
▼現代のストレス社会では、スマホなどで睡眠時間が削られ、生活習慣に変調をきたすケースが少なくない。「眠れない」と「眠らない」では意味合いが大きく違うが、大人に限れば、後者のほうが圧倒的に多いだろう
▼逆に子どもがスマホに夢中になって深夜まで起きている〝スマホ依存〟も問題化している。20代以上でも、睡眠で休養が十分に取れないという人がかつては1割台だったが、近年では2割を超えるといわれる
▼もっとも、不眠症と思われる症状は古くから悩みの種だったようで、作家の太宰治は、小学3、4年のころから不眠症にかかり、夜の2時、3時になっても眠れなかったと語っているし、川端康成も49歳当時の随筆で40年間不眠に悩まされてきたと書いている
▼現在の日本の成人の平均睡眠時間は約7時間22分で、世界的にも極めて短く、調査対象国33か国の中で最下位となっている。調査対象国の平均は8時間28分というから、1時間以上も短い
▼子どもの平均睡眠時間はさらに少なく、小学6年生が7・9時間、中学3年生が7・1時間、高校3年生が6・5時間で、厚労省が推奨する睡眠時間を大幅に下回っている。20~50代の成人では、男女ともに約4~5割の1日当たりの睡眠時間が6時間未満で、働き盛りの世代を中心に睡眠不足が顕著だ
▼睡眠不足により、健康のみならず、学業の成績や労働生産性に影響が出るという研究結果もあり、日本や日本人の先行きを考えるうえでも睡眠不足は深刻な問題と言わざるを得ない。

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