コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2025/11/06

広域に効果及ぶ空港強化

▼成田空港の機能強化の取り組みが活発な動きを見せている。急拡大する航空需要やインバウンド(訪日外国人客)に対応するためだが、「第2の開港」と呼ばれる巨大事業にして、「国際ハブ空港」として機能を強化する国家プロジェクトでもある
▼核となる事業は、滑走路の新設・延伸と発着枠の年間50万回への拡大(現状30万回)。3本目となるC滑走路(3500m)の新設とB滑走路(2500m)の1000m延伸は、すでに工事が本格化している
▼供用開始は2029年3月の予定で、既存のA滑走路(4000m)を含め、長さはいずれも3500m以上となり、大型機などの離着陸が可能になる。空港の敷地も現在の1198haから2297haに拡大する
▼成田国際空港(NAA)の試算では、発着枠の拡大により、旅客数は30年代後半から40年代にかけて現在の1・8倍の7500万人となる。4本の滑走路がある羽田空港と合わせて「首都圏空港」としての能力も格段に上昇し、ニューヨークやロンドンなど世界の主要都市と比肩する
▼成田空港の機能強化については、ここ1年で方向性が明確になった。「『新しい成田空港』構想2・0」の取りまとめや、国による「国家プロジェクト」としての位置づけ、県による空港周辺での産業集積の方向性、千葉県全域の国家戦略特区指定の方針決定、NRTエリアデザインセンター(NADC)の設立と「エアポートシティ構想」などが挙げられる
▼これらの動きを勘案すると、成田空港の機能強化は空港周辺の活性化にとどまらず、県全域への効果が期待できる。県が公表した「成田空港『第2の開港』を起点とするアクションパッケージ」でも、千葉・幕張新都心、京葉臨海、アクアライン着岸地、柏の葉などのエリアで国際競争力のある新事業創設が打ち出されている
▼特区としての規制・制度改革も県内全域に適用する方向で検討されており、成田空港の機能強化は本県全体に大きなビジネスチャンスをもたらす可能性を秘めている。

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