コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2025/11/21

差し迫るインフラ老朽化

▼今年1月に埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故は、インフラの老朽化の深刻さを改めて私たちに突き付けたが、老朽化は言うまでもなく、上下水道に限らず、道路や橋、トンネル、ダムなど多岐にわたる。どれも社会生活に欠かせない重要なもので、それらの老朽化は、今後の進行を考えると差し迫った危機そのものと言える
▼国内のインフラの多くは1960~70年代の高度経済成長期に集中的に造られた。一般的にインフラは建設後50年が老朽化の目安とされていることから、加速度的に進む老朽化を抑えることは不可能だ
▼国土交通省の調査によれば、2023年時点で建設から50年以上経過する施設は、道路橋(約73万橋・橋長2m以上)が約37%、トンネル(約1万2000本)が約25%、河川管理施設(約2万8000施設)が約22%、水道管路(総延長約74万㎞)が約9%、下水道管渠(総延長約49万㎞)が約7%、港湾施設(約6万2000施設)が約27%に及ぶ
▼さらに40年時点では、道路橋が約75%、トンネルが約52%、河川管理施設が約65%、水道管路が約41%、下水道管渠が約34%、港湾施設が約68%に達すると予想されている
▼このまま施設の老朽化が進めば、事故の危険度は高まるばかりで、現時点でも、どこで何が起こっても不思議はない状況にある
▼老朽化対策はまさに喫緊の課題だが、これだけの施設を一斉に維持管理・更新することは極めて難しい。「予防保全」の重要性を踏まえて戦略的な対策を確実に進めるほかなく、それには多大な予算や人的労力が必要となる
▼48年までの30年間(18年試算)に必要なインフラの維持管理・更新費は254兆~285兆円と言われるが、とにかく事故が起きてからでは遅い
▼公共事業はかつて政治家による「バラマキ」と批判されたが、現状を直視すれば、いまやその批判はあたらない。自分たちが造ってきたインフラをどうすべきか、その課題から逃れることはできない。待ったなしの状況が続いていくと言わざるを得ない。

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