コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2026/04/01

終末時計「85秒」

▼毎年発表されるたび危機感や切迫感を覚えずにはいられない「終末時計」。地球滅亡までに残された時間を概念的に示すもので、今年も1月に公表され、残り時間は「85秒」まで進んだ。最も少なかった昨年から4秒減り、公表を始めた1947年以降で最短となった
▼米国や中国、ロシアをはじめとする主要国が自国本位の姿勢を強めている現在、4秒の進行は無理もないと感じる。これらの国が核戦争や気候変動などのリスクを軽減させるための国際協力を阻害していることが要因として挙げられたが、日々伝え聞く報道から世界情勢を眺めれば、さもありなんとの思いが強い
▼終末時計は米科学誌「原子力科学者会報」が毎年発表しており、人類の滅亡を夜0時と見立て、核戦争などの危機が高まると時計の針を進め、遠のくと戻す
▼1947年に「残り7分」で始まり、核の脅威や気候変動、AIのリスクなどを要因とし、過去約1年間の国際情勢を分析して決定する。53年には米ソの水爆実験成功により「2分前」を記録。91年にはソ連崩壊による冷戦終結で「17分前」まで戻ったものの、それ以降は短縮傾向に転じ、20世紀末には再び10分を切り、現在まで歯止めがかからず針を進めてきた
▼今回の「85秒」は、ロシアのウクライナ侵攻、インドとパキスタンの紛争、イスラエルと米国によるイランの核施設攻撃など、核保有国が関わる地域紛争の激化が大きく影響した
▼世界の気候変動対策も「全く不十分」から「きわめて破壊的」なレベルに後退し、AIの進化による脅威への対応も遅れているとの危機感が示された
▼ただし「85秒」には、2月末に始まった米・イスラエルのイラン攻撃は反映されておらず、残り時間はさらに縮まる可能性が大きい。専門家は現状を「終末時計の歴史上、真夜中に最も近い時間」と警鐘を鳴らす
▼時計の針を進めるのも人間なら、戻すのも人間しかいない。全人類が時計の針を戻す努力をすべきとの指摘を、これまで以上に深刻に受け止めなければならない。

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