コラム『復·建』

楽観的すぎた21世紀の展望

▼あれは戦後、バブル期の終わる1990年代初頭ごろまでだったろうか、21世紀になったら解決できる課題やテーマがしばしば語られてきた。しかし21世紀も四半世紀を過ぎたいま、それらの課題を思い返してみれば、現実との落差に愕然とさせられる。あまりに楽観的で希望的な観測でしかなかったことを思い知らされる

▼当時語られた主な課題を挙げれば「戦争や核の脅威は小さくなる」「貧困や飢餓は大きく後退する」「環境問題やエネルギー不安は解消される」「病気、とくにがんなどは根治できる」「高齢化や人口問題は制度整備で乗り越えられる」など

▼国内に限れば、ほかに①安定成長と終身雇用の見直しで、豊かで安心な暮らしが実現②高齢化に対応した持続可能な年金・医療制度③デジタル化で格差が縮まり、誰もが恩恵を受ける④教育格差が縮まり、創造性を伸ばす教育へ転換――などだった

▼国内外を問わず、これらの課題の多くが解決どころか、悪化傾向をたどっている現実を考えれば、いかに見通しが甘かったことか。その要因としては、経済成長と技術進歩で多くの問題は解決されるという楽観が強かったことにある。人口動態や格差拡大、気候変動などの長期的で構造的な問題が、現在ほど実感されていなかった面もある

▼最近、インターネット上では「2016年」がキーワードとなり、10年前を振り返るブームが起きているそうだが、これもこの10年で社会があまりに劇的に変化したゆえの現象に違いない

▼「10年前といま、どちらの時代が生きやすいか」という調査でも、「10年前」と答えた人が約8割に上った。その理由には「物価や生活費が安かった」「国際関係の不安が少なかった」「異常気象の影響が少なかった」「SNS空間が穏やかだった」ことなどを挙げている

▼では、さらに「10年後」は「いま」と比べて、私たちの社会はどれほど生きやすくなっているだろうか。少しでも平和に近づき、不確実な時代の不安から解放されていることを願うばかりだ。