コラム『復·建』

首相の短時間睡眠は

▼高市早苗首相がX(旧ツイッター)に「0~3時間睡眠が常態化」と投稿したことが、少し前に物議をかもした。海外メディアでも話題になり、行政トップの労働環境としての姿勢を問う論調も多かった。大いに働こうとする意欲は買うが、短時間睡眠が国民にプラス、マイナスのいずれに働くかが問題だ

▼投稿の背後には、高市氏が「憧れ」と公言していた英国のサッチャー元首相になぞらえたとの見方がある。サッチャー氏は1日4時間ほどしか眠らなかったとされ、「日本の首相はサッチャー氏より短い睡眠を誇示したのでは」との指摘も出された

▼公務と家庭の両方で女性に期待されてきた伝統的な役割を果たす姿を、保守層へのアピールとして示したかったのではないかとの見方を伝えるメディアもある一方で、ワーク・ライフ・バランスに対する時代遅れで後ろ向きな姿勢との受け止めもあった

▼そもそも著名人にはショートスリーパー伝説が多い。最も有名なのが「ナポレオンは1日3時間しか寝なかった」というものだろう。憧れの象徴のように語られる話だが、実際にはナポレオンは夜間の睡眠こそ短かったが、日中の頻繁な仮眠や独特の睡眠パターンにより、現代医学が推奨する睡眠時間に近い休憩を取っていたとする研究者の見解もある

▼1日90分の睡眠だったと言われるレオナルド・ダ・ヴィンチも、上手な昼寝で効率よく脳の疲れを取り、最大限のパフォーマンスを発揮できたと言われている。サッチャー氏にしても、公用車で移動中にたびたび仮眠をとっていたとされる

▼確かに首脳ともなれば多忙を極める。米国のトランプ大統領やフランスのマクロン氏は4~5時間、インドのモディ首相も3時間半しか眠らないと公言している

▼ただしサッチャー氏は短時間睡眠について「本来は無謀でずさんなもの」とし、称賛する風潮を戒める言葉も残している。やはり最も大事なのは健康。首脳ともなれば国益にかかわるのだから、高市首相も健康にはくれぐれもご留意あれ。