コラム『復·建』

銭湯減少も地域格差

▼まちの銭湯を見かけることがめっきり減った。取り壊されず、残ったままの建物を目にすることはあるものの、隆盛だった時代を思い返すと、残念な気にもなる

▼銭湯の数は1950年代から急増し、68年には約1万8000軒でピークを迎えたが、それ以後は減少傾向に転じ、「一般公衆浴場」に位置づけられる銭湯は2024年度時点で全国に2730軒となり、半世紀で8割以上が消滅した

▼「その他の公衆浴場」のくくりになるスーパー銭湯やサウナなどに取って代わられたことが大きい。それらの浴場と銭湯を合わせると、施設数は2万3668(24年度)に及び、半世紀前と大差ない数となる

▼銭湯減少の背景には、各家庭に風呂が普及したことや、施設の老朽化、経営者の高齢化などがある。湯を沸かすための重油の高騰や入浴料の引き上げなども減少に拍車をかけている

▼銭湯の廃業は後を絶たず、全国公衆浴場業生活衛生同業組合連合会に加入する銭湯は今年4月時点で1493軒まで減少したという。幼少期、各家庭にまだ風呂が完備されていなかった時代をうっすら記憶する者としては、一抹の寂しさを覚えずにはいられない

▼一方で、銭湯の数は現在も都道府県によって差があることを知り、少々驚いた。人口10万人あたりの銭湯数で最下位は山形県で0・00と「銭湯ゼロ県」。逆にトップは青森県の22・40施設で、国内で最も銭湯好きの県といえる

▼2位以下は、鹿児島県が15・80施設、大分県が11・52施設、富山県が6・52施設、石川県が5・37施設。上位3県が突出するが、総じて温泉の多い県が上位を占め、温泉を使っている銭湯も多い

▼全国平均は2・21施設で、千葉県は0・51施設で下から11番目。京都府や大阪府、東京都は3~4施設と比較的多いが、これは、人口が集中する都市部には風呂がないアパートが多く、銭湯に通うのが生活の一部だった名残とみられる

▼かつては「地域の社交場」だった銭湯。今後もその魅力を発信し、一定数は残ってほしいものだ。