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2025/09/09

事業者:資源エネルギー庁、千葉県、千葉県商工労働部

早期再公募の方針示す/三菱など洋上風力撤退で/銚子市沖における協議会

 銚子市沖洋上風力発電事業に関する「千葉県銚子市沖における協議会」(座長=永尾徹・足利大学総合研究センター特任教授)の第6回が8日、千葉市内のホテルポートプラザちば2階「ロイヤル」で開かれた。銚子市沖洋上風力発電事業者の撤退表明を踏まえ、経済産業省資源エネルギー庁は、地元の理解促進、撤退要因の検証、事業環境整備に取り組み、早期の事業者再公募を目指す方針を表明。次回以降の協議会において、再公募の実施を前提として議論を深め、意見を取りまとめることとした。
 銚子市沖洋上風力発電事業者の千葉銚子オフショアウインドを構成する三菱商事などは8月27日、銚子市沖を含む3海域における洋上風力発電所の開発から撤退すると表明した。
 これを受け、資源エネルギー庁は、再公募に向けた環境づくりを含め、地元への丁寧な対応を図り、国の審議会において事業者撤退要因の検証と制度見直しを含めた事業環境整備を進めた上で、できるだけ速やかな再公募の実施を目指すとした。
 県は、地元と事業者が取り組んできた漁業共生や地域振興の取り組みを基本に据え、地域の未来づくりをどのように進めていくのかを検討する場として「銚子地域の未来創造会議」の設置を提案。メンバーは、県、銚子市、旭市、銚子市漁業協同組合、海匝漁業協同組合、銚子商工会議所、三菱商事。資源エネルギー庁と国土交通省港湾局をオブザーバーとし、県が事務局を務める。
 主な協議事項と年内のスケジュールは▽第1回会議=協議事項および当面のスケジュールなどの説明、銚子地域の現状および課題の把握、これまでの漁業共生や地域振興の取り組みの総括▽第2回会議=今後の漁業共生や地域振興に関する取り組みについて▽第3回会議=今後の漁業共生や地域振興に関する取り組み内容や実施計画の取りまとめ。
 冒頭のあいさつで、小林大和・資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長は「洋上風力発電事業は、地域の理解と協力無くして進められるものではない。今回の会議を再出発の場にしたいと考えているが、まずは皆さまから忌憚(きたん)の無い意見を聞かせてほしい」と呼び掛けた。
 三菱商事の岡藤裕治・常務執行役員電力ソリューショングループCEOは、洋上風力発電事業に理解を示し、協力してきた地域などに対して陳謝した上で「地域共生策は引き続き、責任をもって継続していく」と話した。撤退の要因については「事業再評価のコスト最適化検討において風車大型最新機種への変更、工法の見直し、工程の見直しといった可能性も含め、あらゆる手段を精査したが、入札時に見込んでいた金額と比較し、建設費用は2倍以上の水準まで膨らんだ」などと説明した。
 漁業との共生に寄与する主な取り組み事例として、漁場実態調査の支援とブルーカーボンクレジット創出に向けた藻場造成実証事業、地域産業・雇用の振興に関する取り組み事例として魚食の普及活動と地元産品の認知度向上および販路拡大施策、住民生活・教育支援に関する取り組み事例として銚子市立病院内へのローソンによる省人化店舗の出店とSTEAM教育・環境教育の推進・支援を挙げた。
 早期の再公募に向けては、「政府、県と連携し、データ提供を含めて協力を行う」と誓った。
 千葉県漁業協同組合連合会の坂本雅信・代表理事会長は「撤退について、到底理解できる状況ではない。あつれきを残さない形で撤退し、次の事業者に引き継ぐことができたときに一定の理解を示せることになる」と厳しく指摘した。
 海匝漁業協同組合の伊藤勝康・代表理事組合長は、旭市沖においても洋上風力発電事業の検討が進められていることに触れ、国に対して「確実に事業の完成が可能となるよう、環境を整えてほしい」と要請した。
 越川信一・銚子市長は、事業者が積み立てた保証金200億円について、撤退の影響を受けた企業の支援などへの有効活用を求めた。

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