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2026/05/08

事業者:千葉県県土整備部

有事に織力最大化/半島性「強み」へ転換/大塚生一・災害・建設業担当部長インタビュー

 4月1日付で県県土整備部災害・建設業担当部長に就任した大塚生一氏が、日刊建設タイムズの単独インタビューに応じた。いかなる事態においても「冷静かつ的確に判断し、組織の力を最大限発揮」できるよう、準備と実践的な研修を積み重ねていく。「地域の守り手」である建設業がインフラの整備や維持管理、そして災害対応に尽力できるよう、働き方改革や環境改善を強力に後押しする。千葉県が有する半島性という課題を強みに変えていくためには「道路ネットワークの拡充が鍵」と考え、成田国際空港「第2の開港」を支える首都圏中央連絡自動車道や県北西部の交通円滑化に寄与する千葉北西連絡道路などの促進および、長生グリーンラインなどアクセス道路の整備に取り組む構え。

 ―千葉県への印象と思いは。

 大塚 首都圏に位置しながら豊かな自然や里山を有し、全国に誇る農林水産物がある。これらに高度な都市機能が調和することで、大きく飛躍する可能性を秘めている。半島性という課題を強みに変えていくためには道路ネットワークの拡充が鍵。圏央道千葉県区間の全線開通を控え、成田空港の拡張が進む中、さらなる活力の創出に向けた大きな転換期にある。この好機を確実に捉えていきたい。

 ―就任に当たっての抱負と展望、力を入れる取り組みについて。

 大塚 災害が激甚化・頻発化する中、危機管理が非常に重要。いかなる事態に直面しても、冷静かつ的確に判断し、組織の力を最大限発揮できるよう、準備と実践的な研修を積み重ねていく。また、「地域の守り手」である建設業界の皆さまは、替えの利かない大切なパートナー。日頃からコミュニケーションを積み重ね、信頼関係を築いていくことが有事の際の実効性につながる。建設業界の皆さまにインフラの整備や維持管理、そして災害対応に尽力していただくため、働き方改革や環境改善を強力に推進し、持続可能な建設産業となるよう努力していきたい。

 ―能登半島地震の教訓も踏まえ、半島性を有する千葉県における災害対策は。

 大塚 能登半島地震では、道路法面崩壊や地盤変動による集落の孤立および援助・救助活動の停滞、通信インフラの寸断など、半島特有の課題が浮き彫りとなった。県が管理する緊急輸送道路について、法面が崩壊した場合に迂回が困難な箇所はおよそ90か所に上る。緊急点検を終えたため、今年度から対策が必要な箇所の工事に着手する。対策工事が完了するまでの間は、パトロールなどによりしっかりと状況を監視していく。また、2024年9月に策定した道路啓開計画に基づき、建設業界との協力体制の整備を継続する。無電柱化推進計画による取り組みも進める。25年度の震災訓練では、ドローンを活用した情報収集・伝達訓練を行った。さらに、関東地方整備局とも連携し、低軌道衛星インターネットの設備を用いた通信確保訓練を実施した。

 ―災害対応における建設業界との連携・協力について。

 大塚 安全と安心を守る上で、建設業界の皆さまとの連携が不可欠。県土整備部では千葉県建設業協会、千葉県測量設計業協会、千葉県地質調査業協会などと災害協定を締結し、災害時のパトロールや応急復旧などが迅速かつ円滑に進むよう、強固な協力体制を築いている。納得して力添えをいただけるよう、常に相手方の意見や要望をよく聴き、改善していく。また、豪雨災害への備えとして、関東地方整備局に協力いただき、千葉県建設業協会の会員も参加する排水ポンプ車の作業講習会を継続していく。

 ―災害時に尽力する地域の建設企業への期待と、事業継続に向けた取り組みは。

 大塚 社会資本の整備、災害時の最前線で応急対応を担う建設業界の皆さんに対して大きな信頼を寄せている。県と共に、安全安心な社会を支えていってほしい。一方で、建設業界が健全で、活力を維持して持続的に発展していくためには、適正な利潤が必要不可欠。適正な利潤があるからこそ、労働者の処遇改善、技術者の育成、働き方改革の推進、新技術への投資を実現できる。県としては、発注者の立場から、適正な積算や工期設定、ダンピング受注の排除などに努める。

 ―建設業界を取り巻く課題への対応は。

 大塚 入札制度に関して、今年度、予定価格2000万~5000万円の全ての建設工事を指名競争入札から一般競争入札に切り替えている。受注者にとって過度な環境の変化とならぬよう発注事務を行っていくとともに、説明を尽くすなどフォローしていきたい。また、中東情勢の変化による影響が深刻化している。最新の状況を把握するとともに、建設業界の状況を調査し、必要な情報を提供していく。建設業界の皆さまにしっかりと寄り添い、スライド条項の適用や設計変更などスピード感をもって必要な対応を実施していく。

 ―強靭なインフラの構築に向けた事業について。

 大塚 多重性の確保、半島性の克服、県内の活性化に向け、道路ネットワークの整備が非常に重要。圏央道や北千葉道路など成田空港「第2の開港」を支える広域道路ネットワークの充実・強化、千葉北西連絡道路などによる県北西部の交通円滑化に取り組んでいく。圏央道のアクセス道路となる長生グリーンラインは、主要地方道茂原大多喜線までつながり、広域農道までの用地買収が進んでいる。その先の区間では、設計や用地交渉に向けた調整が始まっている。また、今後も想定される豪雨災害に対し、一宮川や海老川などの整備を計画的に進めていきたい。一宮川流域では、県、市町村など関係者が一体となって治水対策を展開している。著しい被害が生じた箇所においては、河道拡幅や調節池の整備を集中的に進めている。26年度は、55万m3の第三調節池の新設に向け、遮水工事などを行う。千葉港海岸船橋地区においては、国の直轄事業で、護岸や胸壁のかさ上げ、耐震化が進められている。埼玉県八潮市の道路陥没事故を踏まえ、管路と道路の対策を一体的に進めていく必要がある。災害時に道の駅を活動拠点として活用できるよう、市町村による取り組みを積極的に支援していく。

【略歴】
 おおつか・せいいち
 1967年11月28日、茂原市出身。90年3月日本大学工学部土木工学科卒業。同年4月、千葉都市モノレール建設事務所に技師として配属。県土整備部道路整備課国道県道室県道班長、海匝土木事務所次長、銚子土木事務所長、県土整備部道路整備課長、県土整備部技術管理課長、県土整備部次長などを経て、4月1日から現職。趣味のゴルフでは、大多喜町など県南部に足を延ばす。

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