コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2023/07/21

渋滞緩和へアクア新方策

▼「車で遠出したいが、渋滞に遭うのがうんざり」「とくに週末や連休などは車で出かけるのをためらってしまう」――そんな思いに駆られる人は少なくないだろう
▼いまや首都圏の大動脈の一つとなった東京湾アクアラインも渋滞で混雑することが増えてきた。開通当初は、メリットの大半は千葉県側だけなどと陰口もたたかれたが、近年では休日に旅行やゴルフで県内を訪れる際の重要な道路となった
▼そのアクアラインで、時間帯によって通行料を変動させる「ロードプライシング」が試験導入される。交通量を分散させて渋滞を緩和する狙いで、これまで渋滞を嫌がっていた人や、渋滞を心配して早めに帰宅する観光客などに長く滞在してもらう効果が期待されている
▼現行の料金はETC搭載の普通車で800円だが、ロードプライシングでは①午後1時~8時を1200円に値上げ②午後8時~午前0時を600円に値下げ③それ以外の時間帯を800円――とする。7月22日から来年3月末までの土日と祝日、川崎方面に向かう人を対象に導入する
▼アクアラインの1日あたりの平均通行台数は昨年度が約5万1700台で、開通当初の約5倍にまで増加。とくに通行料を800円に値下げした2009年以降に急増した
▼現状は、観光客が渋滞を避けて早めにUターン帰宅する結果、午後2時ごろに交通量がピークを迎える傾向がある。昨年度の1年間に起きた渋滞は2073回にも及ぶ
▼ロードプライシングは英国やシンガポールで実施されており、国内でも2021年の東京五輪・パラリンピックの大会中に首都高速道路で導入された。アクアラインでは交通量分散の効果がどれほどかは未知数だが、その動向が注目される
▼アクアラインについては、現行の4車線を6車線(片側3車線)に増やすことや、新たなトンネルの開通を目指す中長期的な検討に入る方針も決まった。ロードプライシングの試験導入とあいまって、今後のより抜本的な渋滞解消策や交通量増大策にも目が離せない。

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