コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2023/10/17

ジャネの法則

▼年齢を重ねるごとに、1年が短く感じられる――そんな言葉をよく耳にする。かく言う筆者も同感で、若い頃とは違い30代、40代、50代と進むにつれ、時の流れが早く感じられるようになった。この先もさらに加速度を増していくなら、残りの人生はますます駆け足で過ぎていきそうだ
▼とはいえ、こうした感覚は錯覚に過ぎず、時間は常に同じ速さで流れている。だんだん時が短く感じられるようになるのは、年齢とともに毎日が同じルーチンに陥りがちで、若い頃のように初めて体験することが少なくなっていくからだとも言われる。つまり、そう感じるのは日々の生活に新鮮味がなくなるため、という言い方もできるかもしれない
▼ところが最近、「ジャネの法則」という仮説があることを知った。この法則によれば、人には、時計が刻む物理的な時間とは別に内的な体感時間があり、主観的に記憶される年月の長さは年少者にはより長く、年長者にはより短く感じられるという
▼19世紀のフランスの哲学者、ポール・ジャネが発案し、甥の心理学者、ピエール・ジャネの著書において紹介された。簡単に言うと、生涯のある時期における心理的な時間の長さは年齢の逆数に比例する(年齢に反比例する)という考え方だ
▼例えば、50歳の人間にとって1年の長さは人生の50分の1ほどだが、5歳の人間にとっては5分の1に相当する。このため、50歳の人間にとっての10年間は5歳の人間にとっての1年間にあたり、5歳の人間にとっての1日は50歳の人間にとっての10日にあたる。言い方を変えれば、1歳の1年間の体感時間を1とすると、50歳の人は5歳児の10倍の速さで時間が経過し、1年が終わるのも早く感じるわけだ
▼ただし、この法則については「主観的で科学的根拠はない」など批判的な見解や懐疑的な意見もあり、あくまで一つの仮説に過ぎないとされる。老いても悲観する必要はなく、新しい体験や仕事に挑戦することで、貴重な人生の時間を大切に生きるようにしたいものだ。

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