2024/10/22
手書き減少の行く末
▼デジタル社会の進展により、手書きの機会がすっかり減ってしまった。日常がここまでスマホやパソコンに覆いつくされてしまうと、それもむべなるかな。現実に、あるアンケートでは「手書きの機会が減った」との回答が75%に達している。全く文字を書かない習慣は人類を退化させると、将来を憂う声も聞かれる
▼何より手書きが減って、文字(とくに漢字)を我ながら呆れるほど書けなくなった。手書きで文字を書きだしてもすぐに手が止まり、考えれば考えるほどあやふやになり、挙句の果てにスマホで文字を調べる――という嘆かわしい事態に陥ることもしばしばある
▼そもそもスマホは四六時中手にしているが、最近、筆記具を持ったのがいつだったのか覚えていないことも増えてきた。利き手にあった「ペンだこ」など、もはや遠い昔の話である
▼「どれくらいの頻度で手書きするか」との問いには、「1日に1度以上」46%、「数日に1度以上」23%、「1週間に1度以上」11%だった。わが身を顧みても、ペンを持つことが1日に何度あるか、はなはだ怪しい
▼「どんな時に手書きするか」との問いには、回答者2610人中、「カレンダーに予定を記入」1245人、「買い物のリストを作る」1023人、「電話の内容をメモ」949人、「年賀状を書く」943人の順となった。筆者など日々の日程もスマホのスケジュール表に入れるだけだし、日常ではせいぜい電話の内容をメモするくらいだ。年賀状も年々枚数が減り、これでは手書きが増えるはずもない
▼「手書き離れを感じる時は?」との質問には、「漢字が思い浮かばない」が圧倒的に多く1036人に上った。以下は「筆跡が汚い」「手書きが面倒くさい」「何でもスマホで撮影」と続く
▼考えてみれば、昔の人は驚くほど筆まめだった。それらの筆跡を見れば、やはり手書きの文字は美しく、感情も伝わりやすく感じる。便利さと引き換えに、取り返しのつかない代償を払っていることに気づく日がくるかもしれない。