2025/04/28
想定超える人口減
▼総務省が発表した2024年10月1日時点の人口推計では、またも想定を超える数値となった。出生児数が死亡者数を下回る「自然減」は18年連続となり、減少幅は過去最大の89万人だった。政府も多様な少子化対策に取り組む方針を打ち出しているものの、想定を上回るペースで進む人口減少に有効な手立てが見えていない
▼同時点の日本の総人口推計(外国人含む)は前年比55万人(0.44%)減の1億2380万2000人で、14年連続の減少。65歳以上の高齢者が総人口に占める割合も過去最高となった
▼一方、外国人の入国者数は出国者数を34万人以上増えて350万6000人。3年連続で過去最多を更新し、日本人の減少を補う形になっている
▼総人口を年齢別にみると、15歳未満は34万3000人減の1383万人。全体に占める割合は11・2%で過去最低だった。働き手の中心となる15~64歳の「生産年齢人口」は7372万8000人(同22万4000人減)で、人口に占める割合は59・6%にとどまる
▼都道府県別で人口が増加したのは、東京と埼玉の2都県のみ。東京は0・66%増の1417万8000人、埼玉が0・01%増の733万2000人。減少率が最も大きかったのは秋田の1・87%だった
▼他の45都道府県はすべて自然減だったが、このうち千葉、神奈川、大阪など22道府県は社会増となった。千葉は人口625万1000人で、減少率0・08%。この減少率は神奈川の0・05%減、大阪の0・07%減に次いで小さい
▼東京一極集中が依然として続いているが、出生児数と死亡者数の差である「自然増減」では全都道府県で減少している。国立社会保障・人口問題研究所が23年に公表した将来推計(中位推計)では、24年は72万8000人の自然減を見込んでいたが、現実にはこれより10年程度早いペースで減少が進んでいる
▼政府の子育て支援の効果は今のところ表れておらず、今後は地方の経済活性化など、若年層に結婚・出産の機会を与える施策が急務と言える。