2025/07/24
深刻化するインフラ老朽化
▼埼玉県八潮市で起きた下水道管の破損に起因するとみられる道路陥没事故は、インフラ老朽化問題の深刻さを私たちにまざまざと突き付けた。今後は事故の未然防止策の検討が急務となり、管の更新などを含めて点検の手法や頻度、最新の知見を積み上げていく必要に迫られている
▼全国の下水道管で腐食のおそれが大きい場所は、国土交通省により5年に1度以上の点検が義務づけられているが、2023年度の年報(24年10月公表)では、都道府県ごとの差が極めて大きい
▼点検実施率が高いのは大阪府(85・9%)、栃木県および三重県(77・9%)、反対に低いのは高知県(2・1%)、奈良県(17・3%)、山梨県(20・1%)の順となっている。1都3県では、東京都(46・0%)、神奈川県(61・2%)、埼玉県(44・8%)、千葉県(37・7%)
▼老朽化した水道管に起因した道路の陥没・水没も全国で起きており、千葉県でも大網白里市で2月11日に、住宅街を通る市道の路面が一部陥没し、水の高さが約10m噴出し、付近の家屋への被害が出た。水道管(ビニール管、直系15㎝)の亀裂が原因で、経年劣化のための破損とみられる
▼千葉県でも、1月29日に国から目視等による緊急点検の要請を受け、下水道管路の緊急点検を実施。併せて路面下空洞調査も実施した
▼2月7日時点での調査結果では、印旛沼流域の緊急点検延長32・9㎞(管路全延長161・2㎞)、手賀沼流域0㎞(同88・3㎞)、江戸川左岸流域42・8㎞(同95・4㎞)の管路内目視では、いずれも異常はなかった。路面下空洞調査(合計10・4㎞)でも異常は発見されなかった。また、3月6日発表の緊急点検(県の自主点検)では、手賀沼終末処理場に接続する下水道管路(延長37㎞)を調査したが、異常は確認されなかった
▼ひとまず安心と言いたいところだが、老朽インフラは上下水道管に限らず、ほとんど無数にあり、それらの老朽化は急速に進行している。更新の時期が来たのに、財源がないでは済まされない。速やかに予算を使えるように蓄えておくことこそ、政治や国の使命ではなかろうか。