コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2025/10/17

ツェッペリン映画と渋谷陽一

▼久々に映画館へ足を運んだ。最近では何年かに一度ほどしか行かないせいか、そのたび機器や設備が進化していて、今回もチケット購入から四苦八苦してしまった。おまけに、目当ての映画がIMAX上映とかで、鑑賞に別料金などがかかり、けっこうのお値段だった
▼とはいえ、その最新鋭のIMAXの威力もあって、素晴らしい迫力と臨場感に浸ることができた。IMAXとは、4Kレーザープロジェクターと12chサウンド・システムを採用し、より鮮やかで明るい高解像映像、パワフルで臨場感あふれるサウンドが体験できるシステムだという
▼観たのは、英ロックバンド、レッド・ツェッペリンのドキュメンタリー映画『レッド・ツェッペリン:ビカミング』。60年代末に結成された4人組のバンドで、その後のロックシーンにも多大な影響を与えた
▼デビューアルバムでいきなり世界を熱狂の渦に巻き込み、約12年間、華々しい活動を続けたが、ドラマーのジョン・ボーナムの急死によりバンドとしての幕を閉じた
▼映画ではバンドの出発点から頂点に上り詰めるまでの期間を描いている。ジョン・ボーナムの生前音声のほか、メンバーの家族写真や映像、初期のライブシーンなど貴重なアーカイヴ映像とともに、その知られざる歴史をメンバー自らが語る構成だ
▼部分的でなく1曲まるごと演奏シーンを映し出すことで、観客もリアルタイムでその場にいる感覚に浸れる。うたい文句に「没入型」とあったが、まさにそのとおりで、大のツェッペリンファンである筆者も我を忘れて、どっぷり没入した
▼ところでツェッペリンといえば、去る7月に亡くなった音楽評論家の渋谷陽一さんを思い出す。ツェッペリン信奉者で知られ、渋谷さんが興した雑誌「ロッキング・オン」の発刊当時から、筆者も共感を抱く存在だった。渋谷さんがこの映画を観たかどうか存じないが、「ツェッペリンはやっぱりすごかった」と伝えられるものなら伝えたい。「当たり前だろ」と軽く受け流される気もするけれど。

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