コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

  1. ホーム
  2. コラム「復・建」

2025/12/18

物価高直撃の街づくり

▼公共・民間を問わず、建築プロジェクトの延期や見直しが相次いでいる。工事費の高騰により建築生産の維持が難しくなっているのが要因だが、現状で好転の兆しは見られない。その影響は街づくり全体に及んでいるといっても過言ではない
▼工事費の高騰は想像以上で、事業費や建設費が当初計画の約2倍にまで膨らみ、入札が不調になったり、計画が白紙撤回されたりする事例が後を絶たない。事業期間を延長するケースも見られるが、収支のバランスを保つのは極めて困難な状況だ
▼最たる例は、東京都中野区のシンボルだった「中野サンプラザ」の跡地再開発だろう。オフィスやマンション、商業施設、多目的ホールなどを整備する計画で、区が2021年に野村不動産を代表とする事業者グループと基本協定を締結し、28年度の完成を目指していたが、昨年10月に工事費が当初想定の2639億円を900億円以上も上回ることが判明。区は都への認可申請を取り下げ、今年6月に事業予定者との基本協定を解除し、計画は振り出しに戻った
▼区は来年3月に新たな計画の方向性を示す方針だが、大幅な見直しは避けられない。このままでは解体もままならず、閉館したままの中野サンプラザが中野駅前に建ち続けることになる。区は現施設の改修による再開はしない考えで、先が見えない状況にある
▼こうした見直しや中断、遅れが出ているプロジェクトは、JR札幌駅前(北5西1・西2地区)や神戸市医療センター新西市民病院、江戸川区新庁舎、日本橋室町一丁目など、全国的に多数ある
▼千葉県内でも習志野市のJR津田沼駅南口再開発が中断に追い込まれた。施工予定者の野村不動産から年度内をめどに旧モリシア津田沼の取り扱いに関する方向性が示される予定だが、再開発全体の進展は予断を許さない
▼いずれのプロジェクトも遅延すれば、建設会社は手持ち工事の消化だけで業務がひっ迫し、先の受注を選別せざるを得なくなる。従来のコスト感覚を封印すべき時期に来ている。

会員様ログイン

お知らせ一覧へ