2026/01/07
トイレ(東司)の神様
▼願掛けの対象は数あれど、東司の守護神を祀る寺院というのも珍しい。東司とはトイレのことで、つまりは「トイレの神様」。新年早々、尾籠な話というなかれ。人間は足腰など下半身から弱るともいうから、そんなお寺が多くの信仰を集めるのも不思議はない
▼この年末に伊豆へ行った折、宿泊先の近くにそんな古刹があると聞いて立ち寄ってみた。明徳寺(静岡県伊豆市)という曹洞宗の寺で、東司(便所)の守護神とされる「烏枢沙摩明王」を祀っている。南北朝時代末期の1391年(明徳2年)、利山忠益により創建された
▼東司は、禅宗において「浴室」「僧堂」とともに「三黙道場」の一つで、修行の場として一切の私語が禁じられた場所。「東司」で用を足すことも、心身を清める修行の一つとされる▼東司の守護神、烏枢沙摩明王は、不浄なものを浄化する徳を持つとされることから、ここ明徳寺では「おまたぎ」「おさすり」という独特の参拝方法で、雪隠(便器)をまたぎ下半身の病気にならないご利益で信仰を集める。毎年8月には伊豆三大奇祭の一つとして東司祭りが行われる
▼実際に境内に足を踏み入れると、普通の寺とはどこか雰囲気が違い、参拝者の切実な願いに満ちているように感じられる。筆者が訪れたのは年末だったせいか、参拝者もほとんどなかったが、寺の関係者が新年に向けてあわただしく立ち働く様子だった
▼境内にある明王堂には、天然の木や石で作られた男性器・女性器の象徴が多数あり、それをさすることで下の世話にならないよう健康を祈願する。子どものおねしょや子宝祈願のご利益もあるという。「授与品所」にはお札やお守りのほか、「霊験とご利益の肌着」としてショーツやズロース、猿股、ふんどしまで売られており、これにはさすがに驚いた
▼誰しも下の世話にはなりたくないし、体のどこであれ不調なく、健康が一番。人間、健康なら幸福や安寧にもつながる。ひいては、それが社会の平和や安定にもつながるのではなかろうか。











