コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2026/02/10

千葉の地下にヨウ素の大海

▼資源とは人間の生活や産業などに欠かせないもので、国益や国力にも大きくかかわる。古くは「黄金の国」と呼ばれた日本だが、近代では資源に乏しい極東の島国という認識が一般的になった
▼確かに日本は現在、鉱物やエネルギー資源の多くを輸入に頼っており、昨今の日中関係悪化で対日輸出の規制強化が危惧されるレアアース(希土類)に至っては、2024年時点で63%を中国に依存している
▼そんな状況下で先日、政府が派遣した探査船が日本の南東部に大量に埋蔵されているレアアース泥の採取に成功したというニュースは、大きな希望を抱かせるものだった。政府は今回の成功を国産化への一歩として、来年2月に1日で最大350tの泥層を引き上げる段階に着手する
▼同じ重要資源に、次世代電池の材料として期待されるヨウ素があるが、日本は世界の生産量の約3割を占めると知った。しかも、その国内生産量の約8割を占めるのが千葉県と聞いて、灯台下暗しとはこのことかと驚いた
▼千葉県域の大半が、天然ガスが埋蔵されている南関東ガス田に当たり、その一部である九十九里浜沿いなどの一帯は、天然ガスとヨウ素が一緒に採取できる地域となっている。つまり千葉は世界有数のヨウ素産地であり、天然ガスが溶けた「かん水」には豊富なヨウ素が含まれている
▼「古代の海水」とも呼ばれる千葉のかん水は、太古の昔、海水が地層深くに閉じ込められ、長い年月をかけて分解され、地中でヨウ素が溶け込んだものとされる。かん水には、堆積した微生物によって分解されて生じるメタンガスも溶け込んでいる
▼ヨウ素は天然ガスを採取した副産物として1930年代から製造され、現在ではCT検査などX線検査の造影剤として活用されている。近年では、次世代電源と期待されるペロブスカイト太陽電池(PSC)が新しい活用先として注目されている
▼千葉の地下にヨウ素の大海が広がっていると考えるだけで、日々、貴重な〝お宝〟の上で生活している気分になる。

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