コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2012/02/29

新聞デジタル化の行方

▼どこの新聞社でもデジタル報道に積極的に取り組むようになった。読者にとって選択肢が増えるのはありがたいが、それでも日本の場合、まだ多くの新聞社が、“紙ありき”が基本スタンスのように思う。しかし、米国ではずいぶん様相が違ってきているようだ
▼米国では伝統ある新聞が次々と休刊するなか、これらを買い取りデジタル専門のニュース社へと移行させる動きが加速している。しかも、報道サイトは無料という新聞社も多いと聞く。しかし、それはあくまで広告収入が見込める場合であり、広告より販売収入の割合が高い日本の新聞社の場合とは収益構造が違うため、単純には比較できない
▼とはいえ、紙の新聞にどんな未来があるかと問われると、正直、現状ではなかなか明るい展望は描きにくい。紙の書籍と同様、市場が総体的に縮小に向くのは想像に難くない
▼大抵の新聞社にとって“紙は後回し”と腹をくくるのは、自らの存在を否定するほどの痛みを伴う。古いといわれようと、紙への愛着を失わず、紙の媒体を守っていきたい
▼米国のデジタル最優先の新聞社には、いまヨーロッパや日本などから視察が相次いでいるという。前例のないデジタル急展開策がはたして軌道に乗るのか、その注目度は高い。デジタル最優先化によって、新聞の部数が横ばいになり、デジタル広告の売り上げなどで何年も続いていた赤字が黒字に転じたという報告もある。突き詰めれば、意識とバランスの問題に帰着するのではないか。多角的な視点に立ちながら、常に読者のニーズに敏感でありたい。

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